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独立行政法人地域医療機能推進機構 大阪病院

[2024.04.26]

~病院全体への情報発信と医師とのコミュニケーションで改善成果を実現!~

大阪病院様では2017年4月より病院分析システムLibraをご利用いただいております。今回はLibraを使って病院内での改善活動を推進されたとお聞きし、インタビューに伺いました。

独立行政法人地域医療機能推進機構 大阪病院

 病床数 565床(ICU:12床/SCU:9床/ NICU9床含む)
 経営区分 公的病院
 エリア 近畿地方
 インタビュー
 ご協力者様 

算定病歴係長 栗本真吾 様

今回の取り組みの開始時期にはどのような問題意識がありましたか?

(栗本氏)JCHOとしての新たなスタート、新築移転と大きなイベントが続き(図1)、新しい環境に追われる日々を過ごしていました。一方環境が変わった中で、医事課としてもっと医師とのコミュニケーションを図っていくことの必要性を感じていました。もちろん、経営幹部層の先生方とは、診療報酬のことなどを通じて管理会議等で説明する機会が定期的にあります。ただ、改善活動を推進していただく大半の先生は、現場で働く若い先生方です。日常の診療業務の中で、どのようにしてこれらの先生方も含めた取り組みを行うかが、課題だと思いました。

(奥中) DPC請求方式が開始されてから15年ほどになるので、変更当時の先生方は制度についてご理解があっても、若手の医師は知る機会がなかったのでしょうね。

(栗本氏) 当院の場合は、主治医・担当医に分けた体制を敷いており、主治医は診療科部長クラス、担当医は若手医師になっています。電子カルテへのDPCのコーディング入力は担当医が担うことになっているため、実業務で必要な方々に情報が届いていないことに問題意識がありました。今回の取り組みで副傷病名のコーディングがありますが、その副傷病に関する情報を把握されていないケースもありました。

図1:病院の変遷と今回の取り組みの中心となった診療単価

具体的に実施された分析内容や活動内容について教えてください。

(栗本氏) いくつかありましたが、特に医師・診療部門との連携を図って推進したのは「DPCコーディングにおける副傷病評価の徹底」と「診療報酬の算定強化」の2点でした。 まず、DPCコーディングについてですが、日本経営さんの研修中に紹介された『全DPCの症例数のうち副傷病有りとなるDPC症例数の割合』を実際に算出してみたところ、他院事例として紹介されていた数値よりも低かったんです。実は、当院の機能評価係数Ⅱのうち、複雑性係数は全国平均よりも低く、もしかしてこのことと関係しているのかもしれないと思った点もあります。

(奥中) 他院においてもそういったケースがあったりしますね。

(栗本氏) ただ、これは医師だけに問題があるのではなく、医事課側でも情報が不足しているケースもありました。実際に症例を見てみると、医事課としてもまだまだ不勉強な部分もあり、抗生剤の投与歴があるのに肺炎など炎症に関する傷病名が記録されていないといったことがありました。まずは、医事課内で勉強会をし、各診療科担当にて頻出する病名に対する副傷病名を完全把握しました。その上で、DPCに携わる全医師に紙媒体で頻出する副傷病名リストを配付しました。リストには、病名だけでなく、副傷病の有無で具体的に何円の金額差が発生するのか、一般的な入院日数での試算値を載せました。取り組みを開始する前は「こういうことをやってもいいのか」という不安もあり、勇気が必要でしたが、これがとても好評でした。複数の医師から、前向きな問合せやもっと詳しく教えて欲しいといった電話をもらった時には、本当に嬉しかったです。

(奥中) 若手の先生でも病院経営の関心が高い先生もいらっしゃいますよね。

(栗本氏) いくつかの病名については、医師の病名入力画面に初期設定として副傷病名が表示される(図2)ようにし、先生方の入力負担の軽減も行いました。気がつけば、取り組みを始めて3ヶ月後には『全DPCの症例数のうち副傷病有りとなるDPC症例数の割合』が3%以上増えており、結果として15%の目標値を達成しました。特に内科系の診療科では効果がありました。この対応はまだ全ての診療科・医師には出来ていませんが、先生方から「うちの科でも設定して欲しい」というご依頼をいただいているところもあります。この反応は、私だけではなく医事課・入院係のメンバー含めて、非常に嬉しいものでしたし、医事課としてもっと医師への情報提供をしていかなくてはならないと改めて感じさせられました。

図2:電子カルテの疾患入力画面に副傷病の候補を自動表示

診療報酬請求に関してはどのような取り組みをされたのですか?

(栗本氏) 以前、日本経営さんがJCHO病院での研修会を実施されたときにご説明いただいていた「診療報酬請求の改善ポイント」の内容をお聞きしていて、実際にLibraを使っていくつかのJCHO病院と比較してみました。すると、他病院のほとんどが救急医療管理加算1のほうが、加算2よりも件数が多いことが分かりました。当院はどうだっただろうなと思って確認してみると、なんと加算2の方が多かったんです。そのため、加算2ではなく加算1で請求できるものがあるのではないか?ということで調査をすることにしてみました。また、当院では救急医療管理加算の要件のア~コ(図3)に該当する患者を医師だけが判断して電子カルテ上に登録します。医事課では、その結果に基づいて請求するようにしていました。例えば、循環器であれば当院は心不全の病名で入院される方が多いですが、心不全は「ウ呼吸不全又は心不全で重篤な状態」の条件に該当するものもあります。詳しく見てみると、ウの条件で救急医療管理加算1を請求しているケースもありますが、加算2や請求に至らないケースも多くありました。この状況をもとに循環器科の部長にヒアリングを実施したところ、「もちろん全員が全員、ウの条件に該当することは無いと思うが、請求無しというケースも無いように思う」との話がありました。その後、この基準について診療科内で話し合っていただいて、基準を統一していただけました。

(奥中)JCSなどを使って、もう少し明確な基準ができると院内でも意識統一が図りやすそうですね。

(栗本氏) そうなんです。内科などでは、呼吸不全などが挙げられます。ただ、救急は週1回勤務などの色々な先生がいらっしゃるので、網羅的に基準統一というのもなかなか難しいところがあります。

(奥中) たしかに非常勤の先生への基準統一はどこの病院でも難しく感じられるところですよね。

(栗本氏) 脳神経外科や神経内科では、非常勤の先生が夜間対応をされるケースが多くあります。診療科部長にヒアリングをさせてもらったときは、「請求に関する相談は診療科部長に言ってくれたら妥当性について改めて判断するよ」という、ありがたいお言葉をいただけました。

(奥中) 先ほどからのお話ですごく先生方が好意的に協力してくれていますが、何か理由があるのですか?なかなか苦労する部分が多いと思いますが。

(栗本氏) そもそも先生方の経営意識が高いという側面があると思いますし、救急医療管理加算については経済面に特に好影響を及ぼすものなので、協力的になっていただいたのだと思います。また、正直に申し上げると、今まで出てきた先生方は、個人的に昔から色々お世話になっており、話しやすい先生方というのもあります。これらの成果もあって、今回のDPCの機能評価係数では救急医療係数のアップにもつながりました。

(奥中) まずは成果があがるところから進めいていくというのは有効ですよね!

(栗本氏) 先生同士でも、診療科間の繋がりもあるので、徐々に横展開できればと思っています。

吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態 重篤な代謝障害 (肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
意識障害又は昏睡 広範囲熱傷
呼吸不全又は心不全で重篤な状態 外傷、破傷風等で重篤な状態
急性薬物中毒 緊急手術、緊急カテーテル治療・検査又は t-PA療法を必要とする状態
ショック その他上記の要件に準ずるような重篤な状態

図3:救急医療管理加算の対象となる請求要件 ア~ケに該当する場合は加算1(900点)、コに該当する場合は加算2(300点)

(栗本氏) これは医師だけに限った話ではないんですが、病院内での講演会をさせてもらったのも良かったかと思います。このきっかけは看護部長が重症度、医療・看護必要度(以下、必要度)でお困りになられていた背景があり、院長・事務部長・看護部長に状況報告をしていた際に、看護部長からご提案をいただきました。当院は、2018年10月に必要度Ⅱに測定方法を変更したこともあり、病院全体でオーダー登録方法の改善が必要でした。そのため、数回にわたって全職員向けの研修会を実施することになりました。

(奥中) 全体への情報発信があり、診療側からも提案などがあるといったやり取りがあることが、とても大事ですよね。

Libraに期待されていることはありますか?

(栗本氏) 先ほどの話の通り、当院は必要度の測定方法をⅡに変更しています。今は必要度Ⅱの検証が何も出来ていないので、この検証などが必要だと思っており、Libraを用いて検証が出来ないかなと思っています。特に、1月、2月がやや低い状態になっており、月別の変動もけっこう大きい月があったりします。いちおう、看護部には必要度Ⅰの記録も継続はしてもらっているので、レセプトの精度をしっかりと高めてから看護部の記録をやめるようにした方が良いかもしれないとも考えています。

(奥中) (Libraの必要度チェック機能を見ながら)今の当院のチェック結果を見ていますと、抗がん剤の管理やドレナージなどの差異が大きい点が気になりますね。

(栗本氏) これは、看護部と一緒に検証していったら良さそうですね!あと、診療報酬算定支援機能で、Libra上でのチェック方法をすぐに確認できたら良いかもしれません。

(奥中) それはヘルプ機能を使っていただければ解決するかもしれません。

(栗本氏) なるほど、これは便利ですね。例えば退院時リハビリテーション指導料の項目は、実はLibraを使った算定チェックの取り組みをするまでは、疾患別リハビリテーションを実施していなければ請求できないと思っていました。そのため、退院時に在宅指導などを実施しているケースであっても請求していなかったんです。乳腺外科などではがん患者に在宅復帰指導を積極的に行っていますので、この診療科から改善を進めています。

算定病歴係長 栗本真吾 氏

(奥中)さまざまな観点からご活用いただき、本当にありがとうございます。Libraは現時点の機能が最終形ではなく、制度変遷や病院のご要望に応じて機能開発を積極的に進めています。今後もぜひご活用いただければと思います。

本日は、ありがとうございました。

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