独立行政法人地域医療機能推進機構 天草中央総合病院
~重症度、医療・看護必要度のデータの質の改善、病床稼働率の増加など、様々な改善効果で短期黒字化を実現!~
天草中央総合病院様では2017年4月より病院分析システムLibraをご利用いただいております。今回はLibraを使って病院内での改善活動を推進されたとお聞きし、インタビューに伺いました。
独立行政法人地域医療機能推進機構 天草中央総合病院
| 病床数 | 155床(一般139床/結核2床/感染4床/地域包括10床) |
|---|---|
| 経営区分 | 公的病院 |
| エリア | 九州地方 |
| インタビュー ご協力者様 |
事務長 岡部広三 様 |
さまざまな分析をされたと思いますが、当院の課題はどのような点にありましたか?
(岡部氏)取り組み前は診療単価が低かったので、全体で取り組んで向上させていきたいという課題意識がありました。ドクターが少ないのが現状のため、ドクターに関する部分以外のところで、改善をしていきたいと思っていました。
(福田氏)1つ目は、今まで診療報酬の算定率(請求できる余地がある患者に対して診療行為が実施できていない、もしくは請求できていないケース)が低い状態だったことです。そのため、各部門に目標を設定して取り組んでいきました。2つ目は重症度、医療・看護必要度(以下、必要度)の向上により、急性期一般入院基本料を5から4に上げるための取り組みです。4に上がった後にも見直しを続け、必要度Ⅱの方でも基準を満たすことができるように取り組んでいきました。今は、必要度Ⅰも必要度Ⅱも、30%を超えている状況です。
必要度Ⅱの改善をするに際し、どのような取り組みをされましたか? また難しかったポイントはなんですか?
(福田氏) Libraで必要度Ⅰと必要度Ⅱの項目ごとの評価結果を比べて、医事課と看護部の認識の違いを統一するために、医事課と看護部で勉強会を行いました。また医事課側では、各病棟看護師へ処置等算定可能な項目についての勉強会を行い、入力漏れをなくすように働きかけました。特に創傷処置や、ドレーンの処置、心電図モニターの入力漏れが多かったです。また、必要度Ⅱだけではなく、Ⅰの漏れも多くありました。
(岡部氏) 必要度が低かった原因として、医事課と看護部でのコミュニケーションが取れていなかった部分が大きかったと思います。それぞれで認識が違っていました。今回、必要度に限らず全体的に良かったと思ったことは「可視化」できたことです。Libraで実際にデータを取って他の病院と比較をすることで、当院のデータが低いといった共通認識ができましたので、職員に働きかけができました。取り組みを進めると、医事課も看護部も、どちらも評価漏れがありました。看護師は全職員がチェックするのですが、特に夜勤や準夜勤が低くなる傾向にありましたので、師長に頑張ってもらいました。
Libraを使う前は経営会議などでどのような資料を使っていましたか?
(岡部氏) 以前は院内のデータ、前年同月比較のデータが多かったです。他院のデータとは比較できていませんでした。
(先崎) Libraで悪い傾向のデータも見られたと思いましたが、職員はどのような反応をされましたか?
(岡部氏) 診療報酬の算定が少ないことを実感したと思うので、取り組むしかないと思ったと思います。
(福田氏) 診療行為自体は行っていても、算定に繋げるといった考えがこれまではありませんでした。このデータを出した後、算定件数は以前とは比較ができないぐらい向上してきました。加えて院内(院内学会、医学学会)で取り組みの結果を発表したことで、みんなのやる気が出たと思います。この発表の後にも、ぐんと算定件数が向上しました。
院内にどのような働きかけをすることで、算定件数が向上しましたか。
(福田氏) 院長が、前に立って発信してくださったので、私は数字を提出するだけでした。やはり、上の方が動いてくださらないと、下は動かないかと思います。皆、忙しいなどのマイナスの考えも持っているので、院長を始めとした管理者の働きかけは必要だと思います。
(岡部氏) 職員を増やすにしても、経営を良くしないと増えないといった話もしてきました。数字を見せたのが、一番分かってくれるポイントだったと思います。これまでも数字は出していましたが、他院と比較はしていなかったので、その点が今回の取り組みの大きな違いでした。
(福田氏) また、以前は「算定率」を出していたのですが、この算定率では訴求力が低かったです。「算定件数」も併せて出すと、1件1件が請求額に直結するので、納得してもらいやすかったと思います。
地域包括ケア病床の有効活用についても取り組みを進められたのですよね。
(福田氏) はい。Libraを使って地域包括ケアの対象患者一覧を抽出し、ベッドコントロール委員会で協議する仕組みができました。これによって、稼働率をかなり改善することができました。できれば、シミュレーションの機能(Libraの病棟機能転換シミュレーション)を復活して欲しいです。 (先崎)地域包括ケア病床の利用が増えてきている状況ですね。
(岡部氏)これまでは、地域包括ケア病床へ移動させやすい患者から移動させていました。でもそこは、点数をたくさん取れる患者さんから移動させようという考え方にかえていきました。それまでは病棟同士で遠慮しあっていましたが、病院の方針とするとそれぞれ話し合いもし易くなりました。やっぱり、遠慮してしまう部分があったと思います。そのような遠慮が、認識が一致していったので、無くなってきました。
今回の取り組みで大変だったことはなんですか?
(福田氏) 業務が改善活動の推進というだけではないので…。人がいないということもあり、業務をしながら改善の取り組みをしていました。そのためなかなか時間をかけることができないというのが、自分の中で大変なことでした。
(岡部氏) 当院は経営が厳しかったため、人員は最低限で、経営企画などの専任の事務職員を置くことができない状況です。しかし、「今、頑張らないと」ということで、院長と一緒に各担当者を回り、取り組んでいただきました。そうしないと負のスパイラルに入ってしまうところでした。ただ、職員としては取り組み前からも頑張っているという認識だったと思います。そこを、今回の取り組みでデータをしっかり出せました。また目に見えて成果が分かる点も良かったと思います。実際に収益が上がった部署については、個人への評価にも繋げていきたいと思います。やっぱり、やろうとしても機能しない、というのがありましたが、病院全体での方針として取り組んだ点が良かったと思います。
(福田氏) 個人でやってもなかなか動いてもらえなかったので、病院方針としてやってもらうところが良かったと思います。トップから言ってもらう必要もあります。なかなか、みんな忙しいので動いてもらえませんから。人がいないからこそ、協力し合う必要があると思います。
課題として残ったものはありますか?
(岡部氏)地域包括ケアの基準について、当院は現状で地域包括ケア入院医療管理料2になりますが、これから地域包括ケア入院医療管理料1をとれるように新年度は動いていこうと思います。
また人材育成に関して、事務系については新規採用がストップしていたことで事務職員が高齢化している状況にあります。新年度は、新しい職員への育成をしていきたいです。そのためにも、モチベーションの維持にも取り組む必要があります。院長先生からも声掛けをしてもらっています。看護科も相当忙しいですが、もう一頑張りして今後も取り組んでいくように院長からも話をしてもらっています。モチベーションについて、取り組んだことが実績に現れているので良かったと思います。これまでも様々な取り組みはしていましたが、あまり改善が見られませんでした。はじめにベッドコントロールで成果がでたことにより収益増に繋がり、半年で黒字になったのが良かったです。実績が明確に現れことが、大きなモチベーションに繋がったのだと感じています。
ポイントになったベッドコントロールではどのような取り組みをされましたか?
(岡部氏) 新規入院が多くないときも当然あります。一気に週末に退院が増えたのを、調整して平均にしたりして、延べ入院患者数を増やしていきました。看護師は、本音は早く退院させていきたいのですが、そこをできるだけ一時点に入退院が集中しないように調整をしていきました。一時点に入退院が集中してしまうと業務が煩雑になり、退院時の指導などが十分にできなかったりして、質の低下も懸念されるため、そのような調整もドクターと看護師のコミュニケーションが必要です。以前は、ドクターに対して遠慮があったので看護師が言えませんでした。現在はコミュニケーションが取れるようになりました。
(福田氏) DPCの全国平均と比較をして化学療法のクリニカルパスを見直して長くしていったりもしました。医局会などで説明してドクターに理解してもらいました。 (岡部氏) また毎週医局会がある中で、院長が毎回繰り返し、必要事項をドクターに伝えていっています。
院長先生からの働きかけ方といった部分が重要なんですね。
(岡部氏) 以前は、忙しいという職員もいてなかなか改善に繋がりませんでした。そうであっても、何度も働きかけをしていくことが重要と思います。
(福田氏) ベッドコントロールの重要性から院長・事務長・看護部長も毎朝のベッドコントロール会議に出席されています。
(岡部氏) 徹底してやっていくように取り組みを始めました。院長が参加すると、もうそれはせざるを得ないという雰囲気になってきましたので、何度も伝えていくことが重要です。
(福田氏)管理者がベッドコントロールの会議に入られてから、数字も目に見えて変わってきました。成果測定についても、Libraは数字がすぐに出るのですごく助かります。自院の立ち居地を可視化する際にはベンチマークもすぐ出るので助かります。データを提示する場合、自院のデータだけでなく他病院のデータと比較した資料を作成することにより客観的に捉えることができます。話は変わりますが、DPC請求制度の「病院情報の公表」に関するデータ作成も、とても楽になりました。最初の年は何もシステムが入っていないので、手作業でやっていてすごく大変でした。
本日は、非常に良い事例を聞かせていただきました。このまま引き続き取り組みを進めていただければと思います。地域包括ケアに関しては、たぶん1病棟は、増やせるのではないかと思いました。引き続き、よろしくお願いします。
※写真右から 株式会社日本経営Libraサポート担当西田 総務企画課福田久美氏 事務長岡部広三氏 株式会社日本経営取締役先崎
本日は、ありがとうございました。
