独立行政法人地域医療機能推進機構 諫早総合病院
~診療報酬算定支援機能で病院内での情報共有から改善活動に展開~
諫早総合病院様では2017年4月より病院分析システムLibraをご利用いただいております。今回はLibraを使って病院内での改善活動を推進されたとお聞きし、インタビューに伺いました。
独立行政法人地域医療機能推進機構 諫早総合病院
| 病床数 | 333床 一般病床:325床/結核病床:8床 |
|---|---|
| 経営区分 | 公的病院 |
| エリア | 九州地方 |
| インタビュー ご協力者様 |
事務部長 御立田守男 様 |
経営改善の取り組みをされる前に、病院として、課題として感じていた部分や、 危機意識を持っていた点はありますか
(榎並氏)ここの病院に限ったことではありませんが、理由もはっきりしないまま、前からやってきた流れで取り組み続ける業務が多いので、物事を変えていきたいときに、意見が通らないことを実感していました。
(御立田氏)私は4月に転勤してきたのですが、それより前に数字の部分は見ており、経営状況は安定しているとは思っていました。転勤後、さらに患者数が増え、経営はより良くなっていきました。経営的な観点で特には問題と思っていませんでしたが、Libraのデータに限らず、分析をしたデータを元に医師を説得していくことは必要だと思っていました。ただ、企画室や分析室があればいいのですが、一人でやることは非常に大変です。 この取り組み(経営分析研修会)を通じて、一人ではなく多くの人がデータを見ていくことの重要性が分かれば良いなと思っていました。
改善活動ではどのような点にご苦労がありましたか
(榎並氏)今回の取り組みで、一つ一つの項目に関して、データを調べて、ヒアリングをしました(※1)が、理由が分からずになかなか進まなかった時は大変でした。検証を進めていった作業は大変でした。 全てカルテを開いて、実際に医師に確認をしてもらいました。全てではありませんが、「取れそうだ」という認識をしてもらい、算定漏れがないように取り組もうといった認識はしてもらえました。摂食(摂食機能療法1)、NST(栄養サポートチーム加算)については委員会で動いている点があるので、なぜ取れていないかというのを、委員会のトップに把握してもらい、算定できるように、業務の内容を変えてもらうようにメンバーに依頼してもらいました。
(御立田氏)業務は変えてもらいましたが、少しの工夫で何とかなるものが多かったようです。結果、業務量は増えませんでした。現場の数字を見てもらうことで、現場の意識が変わって動いてくれたので、数字で根拠を示すというのは良い取り組みでした。
(※1)
補足:諫早総合病院では、Libraの『診療報酬算定支援』機能の一分析機能である『診療報酬算定チェック』を使用し、主に以下の診療報酬項目について、算定件数向上のための取り組みをしました。
・退院時薬剤情報管理指導料
・薬剤管理指導料1(安全管理を要する医薬品投与患者)
・小児科療養指導料
・皮膚科疾患指導管理料
・摂食機能療法1
・難病患者等入院診療加算
その他栄養サポートチーム加算(診療報酬算定チェック機能には含まれないが算定向上を目指す項目)など
診療報酬算定チェックとは、弊社が独自に設定したチェックロジックで請求内容の妥当性を検証する機能です。この機能では、診療報酬の算定可能性があった(算定できる可能性はあったが算定されていなかった)ケースの件数(以下、算定可能件数)等を分析します。また算定可能件数の対象となった要因を患者個人ごとに検証していくために、Libra上に表示される情報から院内で患者個人を照会していただくための『患者一覧表示機能』も用意しています。今回は、この患者一覧表示機能にて表示された患者特定コードに基づき、院内でカルテ情報を確認したり、担当である医師・コメディカル等にヒアリングをすることで要因の検証を進めました。
(榎並氏)薬剤管理指導などは、この病院は短期の入院が多いので、すべては手が回らないという理由も聞けました。それ以外の患者で、取り漏れがないようにしてくださいね、というお願いをしたりとか、致し方ないケース以外は漏れがないように依頼をしていきました。
嚥下(摂食機能療法1)は、ST、看護師が委員会をしているのですが、そこで調べてもらったときに、STが、医師への依頼をしていなかったということが分かりました。STも看護師も、医師の指示待ちになっていたところがありました。本来、当院のマニュアル、委員会のマニュアルでは、STから医師へ依頼をする方法になっていたのですが、STが新しく入った方だったので、そのマニュアルを把握していませんでした。これからは、STから医師に積極的に依頼をするようお願いをし、そこから数字がちょっと向上していきました。この課題が分かったおかげで、算定対象の患者が増えました。
(西田)データをお見せするだけでも、現場の方で氣づきが促されたり、実際に改善に移せたりといった部分があったのですね。
(榎並氏)摂食については、委員会主導で整理をしてもらったので、進めやすい部分もありました。
※写真右から
事務部長 御立田 守男 氏
医事課入院係長 榎並 竜大 氏
株式会社日本経営 Libraサポート担当 西田
今回取り組みをするにあたって、榎並様の方から、どれだけ、各委員会などへの働きかけをしていきましたか
(榎並氏)薬局、小児科、皮膚科、摂食委員会、NST委員会と、リハを対象に働きかけをしました。まずはそれらに話をしていったところ、それぞれのトップの方から、他所はどのぐらい取っているのか、質問を受けました。Libraではベンチマークがでるので、そのデータを出して渡しました。病床数が同じぐらいの病院を選択して見てもらい、当院がこれぐらいしか取れていないということを理解してもらい、動いてもらいました。
逆に、うまくいかなかった点はありますか
(榎並氏)NST、栄養サポートです。病院が取り組むべき項目の内容ではないんですけど、栄養サポートチーム加算の算定状況が悪いと思っており、どうにか上がらないかと思っています。今も改善できていません。
これも、経営健全化会議に、栄養師に出てもらって、理由を説明してもらいました。ここでも院長から指示があり、九州地区の病院での取り組み内容などを、調べて委員会で発表したんですけど…。よその病院の同じぐらいに、取っていく方針にはならなかったようです。栄養指導とかでやっていこうとなりました。この項目が、ラウンドしなければならないとなっていますが、そこまで人が集まらない状況があります。よその病院が週に2回やるとか、2チームあるとか言うんですけど、なかなか集まらないので、ここも悪しき風習があり…栄養師が、本当は医師の方に依頼をしなければならないが、できないようです。
委員会は、人が変わればやり方が変わったりするのですが、NSTは人が変わらないので、業務内容を変えるということはできなかったものだと思います。
Libraの機能で、よく使えた点は何ですか
(榎並氏)今回は診療報酬算定支援をよく使いました。単なる数値はレセコンでも出ると思いますが、他所のデータは出ないので、参考になり、使いやすかったです。かなり話が入りやすかったです。 あとは疾患分析。これは今使ってます。機能評価係数の発表があり、当院は落ちていたので… 効率性係数は上がったのですが、複雑性係数が下がっていました。他の病院さんの発表資料を元に、 救急医療管理加算の積極的な算定などを依頼したり、副傷病の患者さんがどれだけいるのかを確認しています。去年は7%ぐらいしか副傷病が取れていないので、各病棟担当に、今まで以上に副傷病がつけられるように依頼をしています。効果が出るかは、これからです。
Libraの機能で、改善してほしい点は何ですか
(榎並氏)今、診断群分類でしか見れないと思います。傷病名まで出たりすると、調べやすいと思います。
(御立田氏)Libraは数字が出るのがありがたいです。本部に報告することによって、数字が上がった、下がったという情報を提出するので、今のトレンドも分かります。改善点は、実際には算定にならないような情報も上がってくること。数字が正しいかが分からないときがあります。本当は算定対象外だった患者も含まれていることがあるので、現場で混乱するときがあります。
(榎並氏)入院で絞ってるのに、実際に調べてみると外来の患者が出るときがあります(※2)。算定可能件数に上がってきた理由が分かると良いです。精度が上がると、調べる手間が減ります。半分ぐらい対象外だったときもありますので。 一方、ポップアップヘルプ機能で、算定できる要件がこちらの認識と違っていたときもあるので、それは勉強になります。それも含めて現場に言いやすくなるので。
(御立田氏)Libraのデータを踏まえて、仕組みづくりできた点はよかったです。 古い病院だからこそ、できているかと思いきやできていないこともわかったので、再確認することができました。データ精度を上げるためのツールにもなってます。
(榎並氏)今回の取り組みは、成果ももちろん出ましたが、職員への意識付けができたのが一番よかったです。調べると取り漏れがある項目があったので、医師と、医事課担当に、漏れがないようにとアナウンスができ、全体的に意識付けができました。
(※2)
補足:『診療報酬算定チェック』の患者一覧表示機能は、現在、入院・外来のデータを分けて表示することができません(※算定可能件数、改善試算額の分析においては、入院・外来別に表示されます)。皆様からのご意見を踏まえ、今後改修の予定をしています。
今後はどのような取り組みを予定されていますか?
(御立田氏)今回の取り組みで、Libraのデータを踏まえて、仕組みづくりができた点は良かったです。歴史のある病院だからこそ、「できているかと思いきや、できていないことがあるという点」が分かったので、再確認することができました。また、データ精度を上げるためのツールにもなってます。
(榎並氏)今回の取り組みは、成果ももちろん出ましたが、職員への意識付けができたのが一番良かったです。調べると請求ミスがある項目があったので、医師と医事課担当に、ミスがないようにとアナウンスができ、全体的に意識付けができました。また、今回の取り組みでは全体の意識付けができたので、これからは機能評価係数を上げられるように、長期的な取り組みにはなると思いますが取組んでいきたいと思います。
(御立田氏)Libra以外では、費用の削減につい ても取り組みをする必要があると思っています。 材料費、給与費(超過勤務部分)も、変えて いきたいです。引き締めるところは引き締めていき たいと考えています。
